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第105回文楽公演 第二部 平成19年1月 国立文楽劇場 [文楽]

文楽一月公演に行ってきました!
去年は第2部のみでしたが、今年は折角なので両方を観る事にしました。

 

新幹線で新大阪につくとこんなポスターが。大阪に来たんだなぁと、だんだん気分が盛り上がってきます。

上本町にある都ホテルではこのような展示もあります。右の絵は「冥土の飛脚」の忠兵衛と梅川、左下は「艶容女舞衣」のお園です。

地のものをしっかと地元が支えていこうという取り組みが伺えますね。

新春の文楽劇場、いろいろとお正月ならではの雰囲気があります。
入り口には、門松が。いつもより華やかな感じです。


中に入ると、今年の干支の「亥」の文字を挟んで、左に鏡餅が。これまたど派手な伊勢海老がついてます。(笑)

また、その右には近くの黒門市場から届けられた「にらみ鯛」が飾られています。左右対になっていて、とても立派な鯛です。

舞台上部には今年もかわいらしい鯛が飾られています。


また幕間には技芸員さんによる手ぬぐい投げがあって、結構お客さん同士が激しく奪い合うのです。(笑)

このようなまさに「おめでたい」雰囲気で始まる初春公演、お客さんも和服を着た方(結構若い方から年配まで幅広いのです)が多く、気分はどんどん盛り上がっていきます。

 

さて、訪問初日(6日)は夕方から第2部を観ました。
出し物は「廓の世界」というテーマで、「二人禿(かむろ)」、「嫗山姥」、それから「冥土の飛脚」が上演されました。

まずは、お正月らしい慶事物ということで「二人禿」でスタートです。
これは、正月らしい慶事物で、京島原の遊郭で行儀見習いをするまだ幼い2人の禿がのどかに羽根突きに興じる姿から廓の有様を伝えます。華やかながらも勤める身にはつらい遊郭の姿が垣間見れます。
ただ、遊郭での暮らしを嘆きながらも、段々と気持ちも晴れていき、人形はもちろん、語りや三味線も非常に華やかなものになっています。
玉英さんが遣う禿が好演でした。鞠つきの様子や細かい仕草が丁寧に表現されていたと思います。

続いては「嫗山姥」です。元傾城の八重桐が宮中での陰謀が渦巻く大納言の館に現れて、別れた男を目の前にして、かつて廓での傾城同士の喧嘩沙汰を面白おかしくあてこすります。(「廓噺」)
その後、お家騒動や敵討ちと絡み話は展開していきます。
切場、嶋大夫さんが素晴らしい語りを聴かせてくれました。「廓噺」もテンポ良く、時行の切腹の場面には力強く語っていらっしゃいました。
人形では何をおいても簑助さん。「廓噺」で八重桐のあてこする様子などはとても表情豊かに、見せ場の鬼に変化するところ、その後の立ち回りはとても力強く遣っていらっしゃいました。
語り、人形ととても贅沢な組み合わせで、大満足です。

最後は「冥土の飛脚」、近松ものが続きます。実際にあった公金横領事件を元に主人公亀屋忠兵衛が遊女梅川との逃避行にいたる物語です。今回は「道行相合かご」まで。
今回は忠兵衛が前半勘十郎さん、後半玉女さんのダブルキャストということで、勘十郎さんの忠兵衛で拝見しました。また、今回は梅川を紋寿さんが遣われました。
太夫は淡路町の段を咲大夫さん・燕三さんで、封印切の段をこちらは嶋大夫・清介さんが語られました。
玉男さんが少ない動きで表現されていたのに対し、勘十郎さんは比較的大きい遣い方をされているのかな、という印象を受けました。逆に紋寿さんは簑助さんに比べて動きが少ない感じです。お二方とも非常に魅力的に遣われていて今後の新しい梅川・忠兵衛の姿を見せてくださったと思います。
大夫はお二方とも熱演されていらっしゃいました。特に嶋大夫さんの封印を切る前の忠兵衛のいきるところは本当に素晴らしかったと思います。八右衛門の語りもとても魅力的だったと思います。


非常に盛りだくさんの内容で、見ごたえ、聴き応えがありました。明日はお目当ての「壷坂観音霊験記」もありますし、こちらも楽しみです。

 


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157回文楽公演 平成18年12月 国立劇場 [文楽]

文楽12月公演に行きました。

12月は文楽鑑賞教室と公演が交互になっており、今日の公演は夜でした。今日も満員、相変わらずの人気ですね、、、

今回の演目は「義経千本桜」の初段の堀川御所から二段目の渡海屋・大物浦の段までです。

今回のパンフレット

12月は例年若手・中堅のみの出演となっていますが、今回も中堅中心の番付・配役です。太夫では渡海屋・大物浦の段が千歳大夫さん、人形が知盛が玉女さん、典侍局が和生さんとなっています。

この演目は初めて観るのですが、以前テレビで、津大夫さんの豪快な語り、玉男さんの知盛という夢のような公演を一瞬ですが見たことがあり、どんな舞台になるのか非常に楽しみにしてました。観て思ったのは、義経千本桜の演目としてスケールがものすごく大きいということ。義経や知盛を品格を持って、かつ豪快に演じるのはとても難しそうに感じました。

今回良かったのは太夫では咲甫大夫さん、人形では玉女さんでした。咲甫さんは結構スマートな印象を持っていたのですが、どっしりとした声で知盛が出陣していくところを豪快に表現されていました。また玉女さんはもともと大きい方なのですが、遣い方も大きく、知盛のスケールの大きさを見せてくれたと思います。

一方残念だったのが段切れの箇所で千歳大夫さんが体調が悪かったのか、一番のクライマックスで声が十分に出ていなく盛り上がりに欠けてしまったことです。最後の「あと白波と~」というところが聴かせどころで、知盛が碇ごと豪快に身を投げるところで鳴り物やお客さんの拍手とも相まって最高潮に達して段切れを迎えるのですが、声が鳴り物に消されてしまっていてなんか間が空いてしまった感じでした。やはり相当難しいんでしょうね、、、、

今年の公演もこれで終了で、年明けの大阪公演からまた新しい一年が始まります。今年は玉男さんの訃報という大きなトピックスがありました。ただ、玉女さんという後を継ぐ時代物の立役を遣われる方がいらっしゃいますし、来年以降も素晴らしい公演と出会えることを楽しみにしたいと思います。

 

 【おまけ】

今日の観劇弁当は弁松総本店の並六弁当です。今日はおとなしく白飯にしました。ここのお弁当はいわゆる東京風で濃い(甘辛い)味付けになっています。自分の中ではいろいろなお弁当の中で最も好きなお弁当のひとつです。弁当箱も木の香りがして品のよさを感じます。

並六はカジキの煮付け以外野菜の煮付け中心のおかずにインゲンのきんとんがついていて、ご飯と2段重ねになっています。

今日は実家から劇場に向かう途中、三越本店で買ったのですが、三越では他で買うのとメニューちょっとが違います。通常のメニューはこちらのようになっています。

 http://www.benmatsu.com/shoukai.html

三越ですと、赤飯を頼むとおかずも海老が入ったりとグレードアップします。並六は並六上という名前になるのです。お店の人に聞いたところ、三越だけ、ということのようです。

それと甘いもの。三越で京都「満月」の阿闍梨餅がバラで売っていたので食後のおやつに買いました。

このまま売ってます。

中はこんな感じ。

もちもちして美味しいんですよね。大きさもちょうどよいのです。

 

 


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竹本越路大夫 [文楽]

待ちに待っていたCDが来ました。

義太夫選集

義太夫選集

  • アーティスト: 竹本越路大夫
  • 出版社/メーカー: 日本伝統文化振興財団
  • 発売日: 2002/04/21
  • メディア: CD

竹本越路大夫さんの全集です。かなり前から注文してたのですが、在庫が無かったらしく、ようやく見つかり入手することができました。

このような箱に入っています。

寺子屋、酒屋、封印切、引窓など貴重な資料がCD11枚に渡り収録されています。早速封印切を聴きました。S47に録音されたライブで人形遣いの動く音も聞こえてきて臨場感があります。忠兵衛のいきりや八右衛門とのやりとり、梅川のクドキ、どれも素晴らしく、聴き入ってしまいました。

11月は大阪に行くことができなそうなので、その分偉大なる太夫の名演をじっくりと聴いていこうと思います。

 

話は変わって、先日このブログに書いたわんこそばの全国大会の結果がNHKのニュースでやっていました。優勝者は10分で329杯食べた東京の25歳の男性だそうです。連覇ということで2秒に1杯以上のペースで食べ続けたということで驚くばかりです。

 

 


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吉田玉男さん [文楽]

吉田玉男さんの訃報から1週間余り。先週末は、玉男さんのビデオをDVDに移植しました。数は少ないですが、自分の宝物です。玉男さんの使う人形には本当にその役柄の繊細な心の動きが見事に表現されていたと思います。自分は晩年の舞台しか拝見することはできなかったのですが、最後に見た冥土の飛脚(H17/5 国立劇場)での忠兵衛は本当に忘れることができません。

その時のパンフとチラシ

晩年は豪快な立役ということではなく、こういった繊細な表現を中心に舞台に立たれていらっしゃいましたが、この時の忠兵衛は凄かった。淡路町の段の最後の羽織落としの見せ場、封印切の前の八右衛門に諭されながらもいきり立つところの表現、簑助さんの梅川との掛け合い、どれも素晴らしいものでした。全体を通して馬鹿な印象を与える忠兵衛を、憎めない愛されるべき役柄として動きで表現するのは本当に難しいんだろうな、と素人ながら考えたものでした、、、

その2ヵ月後の大阪文楽劇場公演。自分が見に行ったときにはすでに玉男さんは休演になっていました。

玉男さん最後の公演パンフ

その後も9月東京公演(芦屋道満大内鑑)、今年1月の大阪公演(妹背山婦女庭訓)、と配役に名前が載るたび玉男さんを再び観たいと、必ず初日のチケットを取って駆けつけましたが、再び観ることはかないませんでした。

特に、2月東京公演で曽根崎心中の徳兵衛を玉男さんが遣うという夢のような配役が発表されたときは、夢中で初日のチケットを押さえました。簑助さんのお初との共演もおそらく最後、、、、なんとしても観たかったのです。しかし結局休演。それ以降は配役にもお名前が出ることはなくなりました。

自分の数少ない知識の中で最も印象に残っているのは、ひらかな盛衰記の樋口です。たまたま歌舞伎チャンネルで昭和30年代の映像資料が放映されていたものを録画したのですが、若き日の玉男さんが豪快に樋口を遣っているのを観て衝撃を受けました。紋十郎、先代勘十郎とオールスターの中で若い玉男さんが樋口を遣うというのはよほどの実力があったからなのでしょう。松右衛門内での見得をきるところ、逆櫓での豪快な立ち回りと木登りなど、津大夫さんの豪快な語りと相まってスケールの大きい舞台でした。

87歳と長生きされたということはあるにしても、あまりにも偉大であった人形遣いの訃報は非常に寂しく、今後の舞台はどうなってしまうんだろうと思ったりもします。ただ、まだまだ簑助さん、文雀さんと素晴らしい人形遣いがいらっしゃいますし、勘十郎さん、玉女さん、和生さんといった中堅の方も活躍していらっしゃいます。玉男さんの芸を受け継いだ方たちが、今後ますます素晴らしい舞台が観せてくれることを楽しみにしたいと思います。

ご冥福を心からお祈りいたします。


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9月文楽公演 第一部 [文楽]

今日は9月文楽公演の第一部に行ってきました。今回は国立劇場創立40周年記念ということで仮名手本忠臣蔵の通し狂言で3部構成となっています。さすがに続けて、というのも厳しいので1部ずつ3週に分けて行くことにしました。今日は第一部(大序~四段目)です。

入り口に3つの貼紙がありました。秋篠宮様のお子様のご生誕のお祝い、文吾さんの休演、喜左衛門さんの訃報についてです。文吾さんはほんとここしばらく出ていなく、今回は高師直なので、負荷も少ないかな、と期待していたのですが、あまり体調が良くないのでしょうか。心配です。それから喜左衛門さんは1度しか生で観た事がないのですが、ここしばらくはやはり休演続きで出演されていませんでした。ご冥福をお祈りします。

大序から観れるというのは、話の背景が非常に良く分かるので、勉強になります。また、はじめから観ていると忠臣蔵の狂言としての重さ、大きさが感じられます。すべての出演者が同じ演目にオールスターで出てくる、というのもあるのかも知れません。

二段目での加古川本蔵が主人には炊きつけておきながら、裏で賄賂を渡して話を解決する、というのには納得できないものがありましたが、それは九段目につながってくるということで、、、

四段目の切腹の場面で由良助が飛び込んでくるところは本当に盛り上がりました。簑助さんも相当気合が入ってましたね。自分は簑助さんの立役は初めて観たのですが、いつもの女役とはまったく違う遣い方で幅の広さを見せていただきました。今回は日経やアエラでかなり事前に特集されていましたが、その意気込み通りだったと思います。七段目も楽しみにしたいと思います。

幕間のお弁当ですが、今日は10時開場ということで、デパートによる時間がなかったので、東京駅の駅弁です。なぜかひつまぶし&味噌カツ弁当1,050円を買ってしまいました。

ひつまぶしはとてもひつまぶしといえないものでしたが、、、、

芝居が跳ねたのが2時ごろだったので、帰りに麻布十番に寄って紀文堂の餡なし人形焼(日曜2時以降限定)を買って実家に帰りました。

 

よくよく考えたら弟が昨日亀十のどら焼きを買ってきていた(!)ので、そちらを先に食べました。

1日経っているのに皮がふわふわで美味しかった!!紀文堂の人形焼はしっかりした食べ応えがあるのでまったく逆といってもいいかもしれません。

結構食べ過ぎました。

 


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文楽一月公演&大阪紀行(その1) [文楽]

1月3、4日と文楽一月公演(国立文楽劇場)を観に、大阪に行ってきました!

午前、午後のどちらに行くか迷ったのですが、「妹背山女庭訓」の演目と玉男さん簑助さん目当てに午後に行くことにしました。比較的床の近い前のほうが取れたので、楽しみにしていきました。

新大阪駅で新幹線を降りて地下鉄のほうに歩いていくとこのように人形が飾ってある場所があります。人形は「義経千本桜」の静御前。拵えは文雀さん。華やかですよね。いつもこの前を通ると、「大阪に来た!」という気持ちになります。

ホテルにチェックインし、すぐさま国立文楽劇場へ。

初日ということもあって、男女を問わず着物を着ている方が多く、とても華やかでした。何かの本で、初日は三番叟の人形がお酒を振舞ってくれるという話を読んだことがあり期待して行ったのですが、残念ながらありませんでした。おそらく午前の部だけなんでしょうね、、、、ただ、抹茶とお菓子がいただけるスペースがあったり、お正月ならでは飾り付けがあったりしていつもとは一味違った感じでした。売店でカレンダーを大小両方買いました。東京の国立劇場では大は売っていましたが、小は見当たらなかったんですよね、、、大阪でしか買えないのでしょうか。

舞台もお正月ならではの飾りつけです。鯛がすごく可愛い!!字幕を見に行くときに必ず視界に入るのでかなり気になってしまうのですが。(笑)

さて肝心のお芝居ですが、最初の「桜鍔恨鮫鞘」は綱大夫さんの語り、紋寿さんの女房お妻が素晴らしかった。熱演でした。話としては文楽ならではの主従の為に家族が犠牲になる、という話なのですが、命を懸けた女房の親子の振る舞いは感動的ですらあります。

続いての「妹背山女庭訓」、最初の道行恋苧環(おだまき)で求馬の出のところでどよめきが起こりました。そうです。今回も玉男さんは休演だったのです。一応、貼紙はあったようなのですが、自分も含めて気づいていない人がほとんどだったようです。代演は玉女さん。午前からずっと出てるんですよね。すごいです。

その分簑助さんは相当気合が入っていました。道行から金殿までお三輪の魅力をたっぷり魅せてくれました。ほんと、すごかった。太夫・三味線では、金殿の咲大夫さん、燕二郎さんのコンビが熱演でした。燕二郎さんは4月の「ひらかな盛衰記」で燕三(えんざ)を襲名されるとのこと。これからますます楽しみです。

というわけで両方の演目ともとても楽しむことができました。来年は午前・午後の両方に是非チャレンジしてみたいと思います。で、気になる玉男さんですが、私の親が2月公演(東京)の予約のためチケットセンターに電話したときには、「休演になる可能性があります」とあらかじめコメントがあったとのことです。自分は去年の5月の「冥土の飛脚」が最後なのですが、「曽根崎心中」、玉男さん・簑助さんで観てみたいなぁ。初日だけでもやって欲しい、、、、

芝居がはねた後、それから翌日はのんびりと大阪食べ歩きをして帰りました。それはまた改めて書きたいと思います。

 


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