Dinu Lipatti [ピアノ・音楽]
Lipattiについての本が出ています。ようやくこの休みに読み終えました。
生い立ちや演奏について、より深く知ることが出来たのはもちろん良かったのですが、それ以上に、これまで断片的であったLipattiについての知識が一本の線につながり、さらに具体的な濃淡をもって自分の中で再構築できたのが自分にとって大きかったです。
例えば、リストの協奏曲1番ですが、現在自分たちが聴くことができるのはEMIから出ている極めて録音状態が悪いもののみで、聴くほうからするとあまり聴く機会は少ない曲だと思いますが、青年期のLipattiにとっては、彼の節々のタイミングで数々の指揮者と繰り返し演奏されている主要なレパートリーなのです。自分たちからすると残っている録音を全てよりどころとせざるを得ないのでしょうが、実際はもちろんそうではない、、、その溝を埋めてくれる貴重な本だと思います。
また、教育者としての功労も、新鮮だったのですが、それよりも自分は、後進に切々と訴える音楽へのアプローチが、なによりもLipatti自身の創り上げる音楽の礎そのもののように感じられて、なんとも胸が熱くなったのでした。闘病で苦しみながらも教育、自身の演奏会や録音への執着は想像以上のもので、最後のブザンソンのリサイタルはそういった過程を経ての彼のキャリアの最後の到達点だったのです。
その他、クララ・ハスキルとの関係の深さにびっくりしたり、もう少し長く生きていれば「ワルトシュタイン」や「交響的練習曲」もライブで録音されていたかもしれない、、、などと悶絶(!)したりもしました。
が、自分が最も嬉しかったのは、自分の好きなベートーヴェンの31番のソナタを、リサイタル等では弾かれる事はありませんでしたが、彼が本当に敬愛していたことですね。単純かもしれませんが、、、
この休み、数々の彼の録音を改めて聴きなおしました。どれも素晴らしいのですが、特に印象に残ったのは、リストの「軽やかさ」。録音はよくないのですが、音の一つ一つの輝きやさりげない表情、それを支える完璧な技術、もはや言葉では言い尽くせないほどの演奏だと思います。
> いずみさん
こんばんは。nice!ありがとうございました。
by Lipatti (2007-08-16 21:53)
ただ聞くならスキなのですが
音楽について疎いワタシ、、、今回で
Lipattiさんの HNの由来(?)がわかりました
「リパッティ」とお読みするのですね
今まで「ライパッティさん」と勝手に自分で読んでました~
いやぁ お恥かしい・・・ヒトツ 利口になりました!
by snow (2007-08-18 08:28)
> snowさん
こんにちは。昔からこのHNを使っているのですが、以前ネット上で何人かの方から「らいぱちさんですか?」と言われて以来、日本語表記上(?)は「らいぱち」ということになっています。(このブログの表題もそうしています。)
Lipattiは1950年に亡くなった昔のピアニストで、とても素晴らしい録音をいくつも残しています。録音状態はよくありませんが、機会がありましたら是非聴いてみてください。
by Lipatti (2007-08-18 16:31)
私、まだこの本を読んでないのですが、なるべく近いうちに読みたいと思っているところです。
リパッティというと、私はまず真っ先にパルティータ第1番が浮かびますね。
それほど、あの曲とリパッティというのは、私にとっては切っても切り離せない、かなり絶対的なものがあります。何と言っても、あの厚みのある(音圧を感じさせる)を骨太な音。ああいう音って、どうしたら出るのかなって、いつも考えてしまうところです(CDの音に慣れてしまった世代には、あの音は無理なのかな?)。
by M.テレーズ (2007-08-21 01:07)
> M.テレーズさん
パルティータをはじめ、生で聴いたらどんな音なのだろう、、、というのは良く考えます。そういった意味では、やはり妄想、もとい想像力で補って考えなければならないので、難しいですね。あんな録音レベルなのにも関わらず、未だ多くの人を魅了してやまないという点だけでも、凄いと思ってしまいます。
by Lipatti (2007-08-26 16:24)