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第159回文楽公演 第二部 平成19年5月 国立劇場 [文楽]

昨日、先週に引き続き、文楽5月公演の第二部に行ってきました。今回も満員御礼、相変わらずの人気です。

人気といえば、非常に席の取りづらい状態が続いています。今日の座席は1列27番という一番右前の席。1列目というのはこれまでに何度かありますが、一番端というのは初めて。右側は非常に見づらいです。「尼崎」の久吉などはほとんど見えませんでしたし、「夕顔棚」のさつきも文雀さんはほとんど見えませんでした。席に座って正面を見るとこんな状態です。

大夫・三味線は後ろを向かないと見えません。この席であれば、少し後ろでも全体が見える席の方が良いと思います。それにしてもこの人気ぶり、しばらく続きそうで引き続き席を押さえるのは大変そうですね。

今回のメインは十段目、「夕顔棚の段」「尼崎の段」です。「太十(たいじゅう、太功記十段目の略)」といわれ、歌舞伎でも頻繁に演じられる演目です。

大まかなあらすじとしては、光秀の謀反を許さぬ母さつきが久吉の身代わりとなり、自分の命をもって謀反の業を光秀に訴えます。一方で息子十次郎の死を覚悟した初陣の願い、それを知った上での許婚との悲しい祝言、その後出陣するも、真柴方に壊滅され瀕死で戻ってくるもまもなく死んでしまう、、、、民のためにと貫いてきた自分の信念を曲げることのなかった光秀もここにきて堪えきれず男泣きに泣き上げます(大落し)。そこに現れた久吉。望みは薄いながらも最後に山崎の天王山で決戦することを約し、段切れを迎えます。

大夫はやはり十九大夫さん、光秀のスケールの大きさ、家族それぞれの感情を見事に表現されていらっしゃいました。クライマックスも最後まで力強く最後まで盛り上げてらっしゃいました。特に光秀の出のところ、大落しのところ、最後のくだりのところが良かったと思います。

人形は、母さつきの文雀さん、操の簑助さんはもちろんですが、なんといっても勘十郎さんの光秀が良かったです。見得を切るところ、団七走り、石投げ、木登りなど通常の演目以上に見せ場が多いのですが、とても大きく力強く遣っていらっしゃいました。

この演目、もう4年前くらいになるでしょうか、勘十郎さんの襲名披露狂言の演目だったんですよね。光秀が勘十郎さん、十次郎が玉男さん、初菊が簑助さん、操が文雀さん、さつきが紋寿さん、、、自分が文楽を知る少し前だったのですが、もっと早く知っていれば、、、と今でも悔しいです。でも今回は通し狂言ということもあって、いい役、いい場面から大夫も人形遣いも決まりますので、とても豪華なメンバーで楽しむことが出来たと思います。

次回、東京は9月、玉男さんの一周忌追悼公演ということです。もう1年経つんですね。ポスターにも玉男さんが。

菅丞相が玉男さんの当たり役だったことから「菅原伝授手習鑑」の「道明寺」が、また「夏祭浪花鑑」、夏らしいいい演目だと思います。若干時期はずれますが、東京だとこのタイミングしか出来ないですよね(笑)。まだ配役は発表になっていませんが、菅丞相は多分簑助さん?覚寿は文雀さんとして苅屋姫は紋寿さん??一方で、団七は勘十郎さんなのかな、、、と配役を想像するだけで今からとても楽しみです。一方で7~8月の大阪は若干魅力的な演目が少ないこともあって行くかどうか悩んでいます、、、

 


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コメント 2

mami

Lipattiさん、こんばんは。
通し公演は見応えがありましたが、やはりよくかかる「尼ヶ崎」が充実していて素晴らしかったですね。
勘十郎さんが最近はすっかり立ち役遣いになってしまったのが、ちょっと寂しい気もするのですが。
9月の公演も楽しみです。菅相丞はやっぱり簑助さんでしょうか。
by mami (2007-05-29 00:33) 

Lipatti

> mamiさん
こんばんは。
尼ヶ崎、夕顔棚の最初のところの読経で幕が開け、さつきが現れたとき、本当に背筋がぞくぞくしました。一力茶屋や、寺子屋もそうですが、こういった大作には独特の緊張感がありますよね。それがたまらなく好きです。
勘十郎さん、立役も女形もオールラウンドな人形遣いになられているという印象です。正月、大阪の鷺娘は特に素晴らしかったですし、チャリ場などでもとても上手ですよね。お父さんと師匠の両方の良いところを吸収してどんどんスケールの大きな人形遣いになってほしいと思います。
以前NHKの番組で、住大夫さんが「玉男さん亡き後はお前が菅丞相とか良弁上人を遣うんやで」というようなことを言っていたもので、、、
by Lipatti (2007-05-30 22:47) 

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