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第159回文楽公演 第一部 平成19年5月 国立劇場 [文楽]

昨日、文楽5月公演の第一部に行って来ました。昨日は、雨が降ったりやんだりといやな天気でした、、、

 またもや満員御礼。すごい人気ですね。

5月は「絵本太功記」の通し狂言、とても楽しみにしていました。しかも今回は席が4列目の一番右端、床に一番近いところということもあって迫力のある舞台でした。

「太閤記」というと秀吉について書かれたものですが、こちらは「太功記」と「功」の字が違っています。秀吉をある程度称えつつも、どちらかというと悪役でとらえられがちな明智光秀にスポットを当てて脚色された時代物の浄瑠璃の大作。いわゆる「三日天下」を六月一日から光秀が死ぬ十三日までの十四段構成(!)という大掛かりのもので、もともとの文楽ばかりでなく、歌舞伎でも良く演じられ、メジャーな狂言の一つです。特に六月十日の十段目「尼ヶ崎の段」は悲劇的な内容と豪快な大夫の語り、人形の動きがあって、上演されることが多い演目です。

 今回のチラシ

江戸時代、幕府からの統制の関係で人物名がそのまま使うことが許されなかったようで、微妙に登場人物の名前が変わっています。主人公である明智光秀は「武智光秀」、織田信長は「尾田春長」、羽柴秀吉が「真柴久吉」、加藤清正が「加藤正清」、小早川隆景が「小梅川隆景」、毛利氏が「郡氏」というように、語感もそのままにとても上手く名づけているのにびっくりさせられます。

第一部は大序から妙心寺の段まで。長丁場でした。主君である春長の傍若無人な振舞に、主君への忠義との板ばさみになり苦しむ光秀。信念のもと、民のため、本能寺で主君を討ったものの、主君殺しの汚名を世間から着せられたことや、それを許さぬ母や妻から理解されないことの苦しみに一度は自ら死を覚悟したものの、民のため臣下のために久吉との対決を決意する、というところまでが今回の内容です。

 今回のスケジュール。結構長いです、、、

大夫では二条城配膳の段の光秀役の松香大夫さん、妙心寺の綱大夫さんが素晴らしかったです。松香大夫さんは光秀のスケールの大きさを印象付けるような力強さを、綱大夫さんは光秀の心のゆれ、動きを上手に語られていました。

三味線はやはり清治さんです。今回も鋭い撥捌きが冴え渡っていました。途中弦の調子がよくなかったのか、一度はずして直す場面もありましたが、落ち着いてリカバリーされていたのはさすがです。どうでもよいことなのですが、今回席が近いこともあり、清治さんと何度も眼が合ってしまって非常に照れてしまいました、、、

人形は、光秀役の勘十郎さんはもちろん、母さつき役の文雀さん、それからなんといっても操(みさお)役の簑助さんです。勘十郎さんは光秀の苦しみや悲しみをぐっとこらえる様子を見事に表現されていたと思います。もちろん大きな遣い方も印象に残っているのですが、それ以上に腹芸というか動かない箇所での表現がとても印象に残りました。前回の襲名披露も含め、完全に光秀遣いとしての地位を固められた、という印象です。簑助さんはしばらく娘の役が続いていましたが、老女形での役もさすが。すっとうつむいて座っているだけでも本当に美しいのです。操の武士の妻としての品格が内面から滲み出ています。これはもう遣い方、という次元ではないですね。尼ヶ崎でのクドキ、とても楽しみです。

今回は、あくまで次回の尼ヶ崎でのクライマックスに向けての前段部分、といった感じです(とはいってもものすごいボリュームなのですが、、、)。今週末も楽しみにしています。

 

(おまけ)

舞台がはねた後、天気が良かったので、銀座界隈までてくてくと歩いていきました。雨上がりでとてもさわやかでした。またお堀の緑がとてもきれいでした。

今頃が一年で一番好きな季節です。午前中から屋外でゆっくりとシャンパーニュや白ワインが飲みたくなる(!)、そんな季節ですよね。

 


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piano

文楽ってまだ観た事ないんですよ
歌舞伎もそうなんですが…
私の住んでいるところの近くに金丸座があるのですが
1度は歌舞伎を観に行ってみたいと思っています
by piano (2007-05-21 10:15) 

Lipatti

> pianoさん
こんばんは!
金比羅歌舞伎!うらやましい~。毎年テレビで放映されるのを楽しみにしています。昔ながらの舞台が趣がありますよね。
文楽、ということで言いますと、毎年夏に愛媛で内子座公演という少しマイナーですが、ファンが大勢押しかける公演があるのです。こちらからですとなかなか行けないのですが、いつか行ってみたいです。
by Lipatti (2007-05-21 23:27) 

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